テニスの王子様 DREAM 1
□紳士にはなれない
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「のーぅ、やぎゅー…」
「……なんでしょうか、仁王くん?」
明らかに不機嫌そうに返事を返す柳生。
なんじゃ、そんなに俺と居るのが嫌か。
「そんなあからさまに不機嫌にしなさんな。お前さんの目当ての女子じゃがのぅ…」
「そんな事だろうと思いました。私は失礼します。」
「ちょちょちょっ、待ちんしゃい…!」
屋上に独りぼっちは、まーくん寂しすぎるぜよ。
そう俺達は、今屋上にいる。
時間は昼休みで、2人で弁当を食っていた。
…………男2人じゃ寂しい?そこ、煩いぜよ。
俺だって可愛い可愛い彼女が居るんじゃ。
けど、柳生の目当ての女子は俺の彼女の友達で、協力してもらっちょる。
「ふぅ…それで?姫sさんがどうかなさいましたか?」
「おぉ、やっと聞いてくれる気になったか。」
「貴方がしがみついてきてますからね。動こうにも動けません。」
やれやれとため息をつき、再度俺の隣に座る柳生。
……………最近、ペアの俺に冷たくないか?
「さて、俺の彼女からの情報じゃと、あいつは………お前さんに興味があるらしいぜよ。」
「……………仁王くん、嘘は感心しませんね。私をペテンにかける為だけに呼び止めたのでしたら、やはりお暇します。」
「嘘じゃないぜよ。長年ペアのおまんなら分かるじゃろ?俺の嘘つく時の癖やらなんやら…etc」
やれやれ、頑固モンじゃのぅ…
瞳の見えない逆光眼鏡の奥から、俺を睨んどるのが分かる。
「………伝えたい事はそれだけですか?」
「おぅ、まぁの。」
「そうですか、ありがとうございました。では、失礼します。」
「あー、待ちんしゃい、柳生。」
俺はもう1つの大事な報せを忘れていた。
「あいつは今日の放課後、教室で自習する筈じゃ。行って勉強、見てやりんしゃい。」
ニヤリッとほくそ笑んで柳生を見たら、相変わらずの無表情で何も言わずに屋上を後にした。
……………手がかかるんは、どっちかのぅ…?