貴方に嘘の花束を
□第六話
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こんなことなら、もっと早く会いに来ておけば・・・
それに気付いたのか、ミルフィーユは一旦ぶら下がるのをやめて地に足を付けるとエンヴィーの手を引っ張った。
「大変大変!顔色悪いよ?大丈夫!?」
異様なほどの心配をして、真っ白な病院のベッドにエンヴィーを座らせる。
薬薬、と呟きながらミルフィーユはベッドの隣に置いてある棚を漁り始めた。
「あった!!」
笑顔で救急箱をエンヴィーの隣に置く。
「頭痛いの?お腹痛いの?気持ち悪いの?
熱あるの?それともどこか痛い?足?手?腕?背中?頭?顔?
どこどこどこどこどこどこ!?どこが悪いの?私が頑張って治すよ!!」
ものすごく真剣な顔をして薬箱を開けるミルフィーユにたじたじのまま、エンヴィーは答えた。
「馬鹿じゃないの?
悪い所なんて無いし。見ればわかるでしょ」
その言葉に反応して動きをぴたッと止めた彼女は、笑みを浮かべながらゆっくりと薬箱を閉じた。
「そう・・・・・良かった・・・・」
エンヴィーの腕を取り、勢いよく彼の体を自分の方へ寄せる。
その見た目からは信じられないほどの怪力に、エンヴィーは全く動けない。
「だって、だってさぁ」
いつの間にか右手には鋭い鋏。
「具合が悪かったら、私が手加減するとか馬鹿な考え、しちゃうでしょ?」