貴方に嘘の花束を
□第二話
3ページ/3ページ
「・・・すげえな、あいつ」
「兄さん!」
人ごみを掻き分けて、やっと兄を見つけた。
男たちが倒れたことにより、野次馬が減ったせいだろう。
「確かにすごいね」
「あれ位の男達相手じゃ、十分の一の力も出してないだろうな」
結果を見て簡単に感想だけを述べると、エドワードは後ろに弟を連れ、先ほどの食堂を目指して歩を進めていた。
そんなエドワード達を止めたのは、件の少女だった。
「・・・鎧?」
その声を聴いて、二人は振り返った。
鎧と言えばアルフォンスしかいない。
「あんた、誰だ?」
エドワードが少女に向かって一歩踏み出る。
同じように彼女も一歩踏み出て、名乗りを上げた。
「ミルフィーユ・ラフェテリア准尉です」
「「准尉?!」」
彼女は大人っぽく見えるが、その身長と顔立ちからエドワードよりも幼い事がわかる。
そんな少女が准尉とは到底思えない。
「・・・・で、一体何の用だ?」
「ロイ・マスタング大佐から伝言を預かっています」
事務的な声でその内容だけを告げて、もう用は無いというようにミルフィーユは背を向けてどこかへ行ってしまった。
そして、路上には、大佐に会わなくてはいけないという悩みに頭を抱えたエドワードだけが残った。