kiss in the dark
□第二章 -秘密の部屋-
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パトカーのサイレンが夜の繁華街を彩る。
「や、やめてくれ…」
「この期に及んで命乞いか…まぁいいや。殺しはしないから、さっさと下にいくよ」
建設中のビルの中で、女はナイフを手に麻薬密輸組織を追い詰めた。
…わざと背を向け隙を作る。
すると奴は狙ったように銃を取り出し、打った。
「…バカ。」
瞬時に間合いに入り込み、ドスッ…と一撃、奴の鳩尾に食らわす。
「がっ…」
…倒れる大男を担ぎ上げ、ビルの階段をただ女は静かに降りた。
「…はぁ。」
「桜、また見てんのか。宿題は?」
長閑な部屋のテレビの前。
冷たい麦茶を飲みながらお気に入りのアクション映画を見てほっこりする夏の午後。
最近の私の日課だ。
「宿題なら終わったよ兄者。なんなら見る?」
茶目っ気振り撒いて、スイカを切る兄者に笑った。
「俺魔法使いじゃねえもん。わかんねえよ。スイカどんくらい?」
「ちっちゃいのでいいよ。」