本題。
□四話。
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「……眠れない。」
あれからずっと眠れない。
心拍数が上がりっぱなしだからかな?
落ち着こう。
……うん、いい感じ。
「サキ、寝てるかい?」
「!!?」
心拍数、復活。
心臓が無駄に仕事していて困る。←
アルが隣に座る。
「アル…?」
「しっ…。兄さんが起きちゃうだろ?」
「そ…だね。」
口元に立てた指がやけにいやらしい。
意識しすぎじゃあありませんか、奥さん。←
眼鏡をそっと外すアル。
手、大きいなぁ。
「明日、ニューヨークを案内するよ。」
「ホント?」
「あぁ。」
ニューヨークってあれでしょ。
あの…あれだよ。
中二病のお姉さんが片手に同人誌持ってて、
もう片方の手にはSM用のロウソクを掲げているという像がある町。
……だよね。
「変な想像してないかい?」
「してねぇでごわすよ?」
「動揺してるじゃないか。」
「いえいえ。」
控えめに笑う。
アルといると、自然と笑っちゃうなぁ。
不思議だ。
「開国してくれて嬉しいよ。」
「うん。兄さんは認めてくれなかったけどね。」
「どうしてだい?」
「私が変な国にたぶらかされないか心配なんだって。」
アルが一瞬固まる。
どうしたんだろ。
「アル…?」
「……いや、なんでもないぞ。」
「そっか。」
変なの。