5.暖かい
それでも、やっぱり
「動くな」
あんたはいつも唐突で
「騒ぐな」
前置きとか一切なしで
「じっとしてろ」
俺の心を、掻き乱す。
そりゃあ、俺だってそこまで馬鹿じゃない。
桁違いにレベルの高いドラゴンを見つけたら、息を潜めてやり過ごすくらいの智恵はある。
「、ばる−…」
だから、と思い身じろぐと、俺を胸元に引き寄せていたバルフレアは、肩に回していた手に力を込めたあと、そのまま胸板に押し付けた。
「黙れ」
素っ気なくて冷たい言葉は、強い命令。
反発しようにも、声も言葉も喉の奥に引っ掛かって…出せなくて。
俺は、とりあえず朱くなった顔を見られないように・と、バルフレアの胸に恐る恐る顔を埋めた。
感じるのは、あんたの体温。
喧しいのは、俺の心臓の音。
あんたはいつも、俺に冷たい言葉ばかり言い放つくせに。
それでも、やっぱり
暖かい。
Fin.
■戸惑う気持ちと、感じる気持ち。
■言葉とは裏腹な、行動で示される優しさには真摯な想いが込められているように思います。
■ヴァンはいつでも意識しまくりですvV
そしてバルフレアは、いつでも無意識です(笑)
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