岸辺

軽い小話置き場です^^

しばらく暇がないのでここで更新がおおくなるかと思いまする★
◆聖夜 

 ふぅと息を手に吹きかける。
「政宗殿……まだだろうか……」
 イルミネーションの光に彩られた街路樹の下で幸村は一人待っていた。
 雑踏の中ぼんやりと空を見上げる。
 政宗とは付き合いだして三カ月。まだその関係は浅い。
 元々彼は上級生であり、幸村とは全く接点はないはずだった。だが、血こそつながっていないものの、兄弟のように一緒に育ってきた佐助を通して知り合うことができた。
 優等生タイプの自分と自由に生きる彼。全く違うタイプの二人だがしかし、出会いその一カ月後には付き合うまでとなっていた。
 そして、今日は聖夜。
 恋人たちの時間。
 そう思った途端、顔に熱が集中する。
 あんな秀才、むしろ天才ともいえる人の横に自分がいられる。愛を囁いてもらえる。
 それがいかに幸福か、こういう時想う。
 そして、この幸福を続けさせるために今日は必死に準備をしてきた。
 無意識に袋を握り締める。
「幸村!」
 後ろから低く通りのよい声が己の名を呼ぶ。
 何も考えることもなく、幸村は声のする方へ走りだした。
「政宗殿!」
 少々ぶきっちょな手作りのマフラーが袋の中で揺れた。

2011/01/05(Wed) 23:56

[コメント書込]

[戻る]
[TOPへ]
[カスタマイズ]



©フォレストページ