岸辺

軽い小話置き場です^^

しばらく暇がないのでここで更新がおおくなるかと思いまする★
◆あなたに合わせましょう? 


「あちぃ……」


 ぽそりとそう政宗はつぶやく。その手にはソーダアイスとうちわ。更に近くには扇風機まである。

 本当ならばエアコンを使いたいとこだが使えない理由があった。


「政宗殿! 汗拭きのタオルでござるぞ!」

「oh,thank you」


 そう、エアコンを使えない理由。それはこの目の前で笑顔で平然としている青年、幸村はエアコンが大の苦手であるためあった。

 もらった汗をタオルで拭くものの、次から次へと汗はでてくる。そういえば今日は最高気温更新だのテレビで報じられていた。


 完全にへばっている政宗に反して幸村は逆に元気だった。

 赤いタンクトップ、首にかけてあるタオル。手にはさっきまで食べていたアイスの棒のみ。


 全く元気なものだと思う。だが嫌な気はしない。

 元気にこうしてのびのびしている彼を、恋人を見ていることが自分にとって何よりの至福なのだから。

 だが、こちらが合わせているのだからやはり料金をちょっとくらいもらってもいいかもしれない。

 政宗の口の端が上がった。



「おい、幸村」


「ん? なんでござわぁあぁ!?」



 どすん、と大きな音がする。政宗が彼の腕を引いて、倒したのだ。


 そして、今。


 政宗は幸村に覆いかぶさっていた。



「幸村」


 男とは思えないほど艶やかな髪がはらはらと垂れていく。政宗は彼が生唾を飲んだのをはっきり感じ取った。



「どうせ暑いんだ。それならアンタの熱で溶かされたい」


「あ、うぅ……」



 この程度の口説き文句など何度も聞いているだろうに、彼は変わらずこうして顔や耳を赤くしてくれる。

 それがまたならなく政宗は好きだった。



「Are you ready?」


「は、い……」




 そっと互いの唇が触れる。

 今日は昼と夜が逆になりそうだな、などと政宗は心の中で笑った。




2013/08/05(Mon) 22:29

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