旧約聖書
□華美
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「…はぁ……。」
「……がっかりしないでください。また会えますよ。」
元々いた訳じゃないのになんかそれっぽいなだめ方だ。自分で言うのも何だがかなり口が達者になった気がする。
副隊長ったら本気でがっかりしておられる。何かね、罪悪感が…
「うぅ…!?」
頭に霹靂が走った気がする。頭が割れそうだ…。た、立てない…。
「ウルバン!?どうしたの!ねぇ、しっかり…!救護班!急いで!」
ウルバンはその場にうずくまり頭を抱えた。
ゲーテに呼ばれて数人の虎治隊員が急いでやってきた。
…治せまい。先ほどの襲撃のとき、怪我は治ったが肺の方は治らなかった。恐らくこれは衝撃でできたのではなく何らかの術で故意に受けた傷物。
あのコウヤという青年の刀を受けたときだろう。
ああ、折角生き残ってきたのにな。やっぱあのとき…もっと皆といたかった。