旧約聖書
□華美
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「……………。」
「副隊長…。」
話しかけても返事がない。心ここにあらずとはこの事か…。ウルバンはため息をついた。
まだ引きずっているようだ。
「副隊長?」
「……。」
「は……ぁ、隊長!あんなところにユドルが!」
「え、え?どこ!?どこ!」
案の定だ。現金すぎてものも言えない。こんな娘が弓隊を引っ張っていくなんて恐ろしすぎる、男性(女)は化けるというが普段のあの性格こそ化けている…こっちが本物だろう。
因みにユドルとは男性(女)に人気な芸能人である。ゲーテもユドルのファンである。業界人や表社会で活躍する芸能人や歌手は基本的には非戦闘要員の仕事なのだ。
ゲーテやヘヤのように宮仕えも業界で働けないわけではない。
しかし、戦闘能力の高い者や特殊能力を持っているものは業界にいく前にシャンソネッタへ抜擢されてしまうのだ。
(…っ……はっ…?)
何だ。一瞬体が死んだ気がした。あれが死という感覚か。…体のすべてが己の指示を聞かずに各々自分の体から出ていってしまう感覚…。ウルバンの体は確実におかしくなっている。