旧約聖書
□華美
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ここは、とある山中。辺りには飛竜の残骸が散らばっている。あちこちで炎も上がっていて人気はない、が。人ではないなにかがうごめいていた。
「あ〜…。これは酷いですね。」
その人ではない青年は炎も軽くすり抜け飛竜の死骸へ歩み寄った。
頭部と思われる場所に手を置くと瞳がカッチリ開いた。青年は微笑みながら頭を撫でた。
しばらくすると、飛竜は何事もなかったかのように体を起こし青年にひれ伏してどこかへ飛び立った。
「ん〜…なかなか深刻です…。」
リバーは飛竜が飛んでいった方を見つめながら左手をその方向にかざした。
「汝…我が身起こるる災厄をこれへ示さん。」
リバーの頭によぎったのは先ほどの飛竜が帰っていった場所とその進路。ここは鄭州。あの方向は東…
「向かった場所はシャンソネッタですか…この惨状を作り出した者への復讐でしょうか。飛竜にこれほどの知能がついているとは…弟よ、これはかなりの大失態ですよ…。」