短編

□恋人と過ごす夜は長い ※
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子の刻。 夜は、まだ始まったばかりだと土方は笑った。

土方の下では沖田が艶めかしい姿で息を荒げている。

白く艶のある優美な肌。しかし、今は熱で少し赤く染まっている。そして、土方が所々につけた赤い痕。 早く熱から逃れたいと訴え、相手の劣情をそそる顔。

その姿は、土方を虜にしていた。



――沖田が、土方の部屋を訪れたのは、今の時間から約2時間ほど前。いつもの様に、前触れも無くやって来た。 そのころ土方は、文机に向かい書類に目を通していた。
そして、土方が仕事を終えた頃、沖田は土方の布団の上でゴロゴロとマガジンを読んでいた。

沖田は、時々こういう態度で自分の事を表現する。 つまりこれは、『襲ってください。』と言っているのだ。と、土方は勝手に解釈した。

土方は、卑しい笑みを浮かべながら布団にいる沖田に近づき、そのまま沖田に跨り俯せに寝ていた沖田を仰向けにした。
沖田の読んでいたマガジンが、畳へとほおり投げ出される。

「何ですかぃ。」

「いや、お前が誘ってたから、その誘いに乗ったまでだ。」

「別に、誘ってなんかないですぜぃ。」

と、沖田は言っているが別に満更でもない様子だ。土方は、それを確認するとゆっくりと唇を近づけた。沖田も、それに応えるようにして腕を土方の首へと回した。


ここで、冒頭に戻る。

すでに、土方のモノは沖田の中に埋まっている状態だ。
沖田も、土方も少し苦しそうな顔をしている。

「―っ。総悟。」

土方は、優しく沖田の名前を呼ぶと自分の腰を沖田に押し付けた。それと共に、沖田が小さな嬌声を上げる。

(それにしても、キツイな。)

土方は、眉を真ん中へと引き寄せて苦しそうな顔をする。そして、少しでもそれを和らげようと沖田の至る所へ唇を付け、沖田のモノを握った。

「あっ―。」

沖田は、先ほどよりも少し大きな声を出し、土方を睨んだ。

「さ、触ん、な。」

しかし、土方はそれを止めない。寧ろ、楽しんでるようにも見える。

土方が、腰を動かすスピードを速めれば、沖田の吐いていた悪態も甘い喘ぎ声となる。
しかし、ここは屯所。幾ら夜中とはいえ、誰がここの近くを通るかは分からない。沖田は、力なく下がっていた腕を持ち上げると、土方の首に回してキスをせがんだ。
土方は、沖田の要求にしっかりと応える。

(全く、何時からこんな淫乱になったのか)

土方は、胸の内で笑った。誰が何と言おうと、あのサド王子と呼ばれる沖田が自分好みに育て上げたのだ。 ―床の中だけだが― まぁ、土方は、それだけでも十分だった。

土方の突くスピードはさらに、加速し深くなる。

「――っん!」

沖田の腰が大きくしなると同時に、沖田は果てた。
キスをしているおかげであまり声は出ない。
そして、その数秒後動きを止めた土方が果てた。

一気に力が果てたように、土方は沖田の上に倒れ込んだ。
二人とも、まだ息が荒い。

「総悟。」

沖田の名前を呼びながら、土方は沖田の前髪を掬い、優しくキスをする。
そして次は、額に…。

そんな、土方の姿が沖田には格好良く見えた。

照れて耳まで赤く染めた顔を腕で隠し、

「死ね、土方。」

と沖田は囁く。

その姿が、どうやら土方に直接響いたらしい。

沖田の中で収まっていたモノが再び主張し始めた。

「おわっ!なっ!あんた、何おっきくしてんでぃ!!」

「何って、ナニだろ。」

「それ、親父くせぇ。」

沖田は、呆れた顔で土方を見る。

「ホント、土方さんは我慢が効かなくて困りまさぁ。」

「お前に、言われたかねぇよ。てか、お前が悪いんだからな。」

「は!? 」

「あんな、顔すっから。 責任とれよ。」

「寝言は寝て言ってくだせぇ。」

「寝言じゃねぇ。」

土方は、そう言うと再び腰を押し付けてきた。

「やっ―。 ちょっ!待っ―」

「さぁ、総悟。 今夜も長くなりそうだな。」

土方は、意地の悪い笑みを浮かべる。

もう、遅い。 第二ラウンドのゴングは既に鳴っていた。

次の日、沖田が一日中腰を擦りながら、土方を罵っていたとか…。

しかし、土方がいつも以上に沖田を構っていたことは紛れもない事実だった。








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