闇に溶ける色
□陸
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ヴァルクは名を名乗ると黒葉を見つめ目を細めて話しだした。
「貴女は美しい。その絹のようにしなやかな黒い髪、宝石のように煌く緑の瞳。あのような所で一生を終えるのは実に勿体無い。」
『触らないで!』
ヴァルクは籠の隙間から腕を伸ばし黒葉の髪へ触れるが、黒葉はその手を払い籠の中で後ずさる。
「そのような反抗的な眼も実に愛らしい。」
『ボクをどうする気・・・?』
「危害を加える気はないですよ。私の妻となりここで一生暮らして頂くだけです。」
ヴァルクは笑顔でそう言うと立ち上がる。
『バカ言わないで!誰があなたなんかの妻になんて・・・ッ』
黒葉はヴァルクへ向い怒鳴りつけた。
だが次の瞬間にヴァルクの雰囲気が一転し言葉を詰まらせた。
「私はあまり優しいほうではありませんのでお気をつけください。」
先ほどまでの笑顔は消えて有無を言わせない雰囲気で言うと、ヴァルクは部屋を出ていった。
律儀にちゃんと鍵も閉めていく。
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