闇に溶ける色

□肆
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――葬儀屋。


葬儀屋は黒葉が帰宅するのをカウンターの椅子に座り待っていた。


毎晩、自分に内緒で外へ出ていっているのは知っていた。


いつもは棺桶の中で寝たふりをしながら黒葉が帰ってくるまで気を張っていた。


でも今日はなにか違う。


いつもよりも近辺の気が暗い。


葬儀屋はじっとカウンターに座り辺の気配を探っていた。


ちゃんと黒葉の気配も感じる。
それと同時に違う気配も感じる。


流石に黒葉とその気配の距離感まではわからない。


葬儀屋は静かな店内で扉を見つめてじっとまっていた。


「・・・ッ!?」


だが次の瞬間、忽然と二つの気配が消え去ったのだ。


慌てて立ち上がり椅子が後方へ倒れる。


だがそんな事は気にせずに葬儀屋は外へ飛び出した。


「黒葉ッ!どこにいるんだい!?」


月明かりに照らされる静かな道で自分の声だけが響く。


どこにも黒葉の気配は感じられない。


いったいどこに?・・・いや、どこかなんて分かっている。


この事件の犯人の元だ。だがその犯人の場所がいまはまだわからない。


葬儀屋は小さく舌打ちをすると自身の店の屋根へ飛び上がりファントムハイヴ邸へ急いだ。






〜続〜
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