闇に溶ける色

□弐
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「先客が居たか。また後日出直そうか。」

「そうですね。」


そこには右目に眼帯をした身なりのいい少年と黒い燕尾服の男が立っていた。
黒葉はまじまじと二人を見つめてしまっていた。


街にいればそれなりに貴族も見るがこんなお店に貴族が何をしにきたんだとゆう疑問の眼で。



「おや?伯爵じゃないか。小生特性の棺に入りに来てくれたのかい?」

「断る。」

「ヒッヒ・・・まぁ二人ともお座りよ。」

「だが・・・」



先ほどまで気配の無かった店主は突然に店の奥から現れた。
手には紅茶とパン。


葬儀屋は少年も見ると縁起でもないことを口にするが一言で断られ楽しそうに笑う。


そして座るように進めるが少年はチラリと黒葉を見やるとどうしたものかとそのまま立ちつくしていた。



『あっ。』

「あぁ、その子は先日からココに住み込みで働くことになったんだ。だから改めて来てもその子は居るよ?」

「は?」
『え?』



葬儀屋の言葉に少年と黒葉の声が重なり葬儀屋は「ブフッ」と吹き出した。



「お前が人を雇った?何かの冗談か?」

「まさか〜。小生はいつでも真面目だよ〜?」

「嘘を付け。」

「ヒッヒ・・・まぁそうゆうことだからお座りよ。」

「あ、あぁ。」



葬儀屋は少年が座ったのを見ると今度は黒葉へ視線を向ける。


「(そんなに何言ってんだコイツ。って目で見ないでほしいなぁ。)」と内心思いながらも声をかける。



「さぁ黒葉。朝食だよ。」

『え?あぁ、ありがとうざいます。』



黒葉にパンと紅茶を手渡すと葬儀屋もいつものカウンターの椅子へ腰をかける。


黒葉は客人の前で食べてよいものかと迷ったがさっさと食べて店を出ようと思い5分も経たずにパンを全て食べて紅茶で流し込む。


そして立ち上がると葬儀屋に声をかけて店を出ていこうと試みる。



『アンダーテイカー。ボク』

「ん?あぁこっちは小生のお得意さまでシエル・ファントムハイヴ伯爵、でもってその後ろの男は伯爵の執事くん。」



言葉を遮るようにして葬儀屋は二人を紹介した。
するとシエルが立ち上がり丁寧なお辞儀と共に挨拶をする。



「はじめまして。シエル・ファントムハイヴと申します。」

『は、はじめまして。黒葉と申します。』



慌てて会釈をして挨拶をする。



「セバスチャン。お前も挨拶しろ。」

「はい。はじめまして黒葉様。私、ファントムハイヴ家の執事をしております。セバスチャン・ミカエリスと申します。以後よろしくお願い致します。」

『こ、こちらこそよろしくお願いします。』



とても綺麗な笑顔で微笑みながら挨拶をするセバスチャンにも慌てて頭を下げる。


『(どうしよう。いよいよ出ていくタイミングが・・・)』


そのまま立ち尽くしていると葬儀屋はマイペースに話を進め出した。




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