闇に溶ける色
□参
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『あの・・・』
「ん?なんだい?」
『ボク、犯人見たかもしれません。』
三人は驚いたように黒葉へ視線を向けた。
「黒葉様、それは本当ですか?」
『はい。なんか人とは違う感じがしました・・・だからもしかしたら。』
「その話、詳しく聞かせてもらえないだろうか。」
シエルの言葉に軽く頷くと黒葉は話しだした。
少し前の夜中に散歩していた黒葉は感じたことのない気配を感じ、気配の方へ向かうとピシッと綺麗に洋服を着た貴族を見つけた。
だがその人物からは人とは違う何かを感じたとのこと。
でも残念ながら顔は見ていなかった。
『すみません、お力になれなくて。』
「いや、十分です。」
「ありがとう」と礼を言うシエルを見て少し安堵の息を吐く。
「でも弱ったな。相手はいつ現れるかもわからない相手な上に女性ばかりを狙うとなると僕らではおびき寄せる事はできない。」
「ヒッヒ・・・いつぞやの格好をすればいいんじゃない?」
「なっ!あんな格好二度とするか!」
葬儀屋の言葉にシエルは顔を赤面させて立ち上がり怒鳴る。
それを小首を傾げて見る黒葉が視界の隅に入り軽く咳払いをするとその場にまた腰掛けた。
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