闇に溶ける色

□弐
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――朝


黒葉は目を覚ますと見慣れない景色が目の前に広がった。


なにか箱のようなものに入っている。


ゆっくりと上体を起こして眠い目をこする。


そして目を開けるとそこには自分の寝ていた棺の他にも周りにはいくつかの棺が置かれていた。


そして色々と見てはいけないであろう物たちも目に飛び込んできた。


『え、なにここ。』


寝起きの頭をフル回転させる。


『(そうだ、昨日は怪しいお店に来てそのまま店主と談笑してそれから睡魔に負けて・・・。)』


黒葉は現状を把握すると棺から出て店主の姿を探した。
棺の中とはいえ一晩お世話になってしまったのだ、一応礼を言っておかないと。


『あ、アンダーテイカー。どこにいらっしゃるんですかー?』


少し大きめの声で葬儀屋を呼ぶが返事がない。


『どうしよう。勝手に帰るのもなんかアレだし。』


暫くそのまま立ち尽くして悩んでいると後ろから物音がした。


黒葉はその物音のした方を見ると自分の入っていた棺よりも大きな棺があった。


『・・・ッ!?』


少し後ずさりその棺を見つめる。


するとまたガタッとゆう音がして棺の蓋の隙間から黒く長い爪の白い手がゆっくりと出てきた。


黒葉は自身の爪を鋭く光らせ棺をじっと見つめた。


だが完全に蓋が開くと中からは自分が探していた葬儀屋が出てきた。



「ん〜・・・あ、黒葉おはよう。」

『・・・』



葬儀屋は軽く伸びをして棺から立ち上がる。


慌てて鋭い爪を隠すように両手を自分の背へと隠した。


「どうかしたかい?」

『いえ。なんでも。』


黒葉はパッと笑顔を見せて答えた。


暫くすると爪は元へもどり前は体の力を抜く。


『(あぶないところだった。)』


こっそりため息をつくといつの間にやら葬儀屋は目の前から消えていた。
店内を見渡すが気配がない。


くびを傾げて棺へ腰をかけると背後で扉の開く音がし後ろを振り返った。




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