その他
□マリスの中で
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「……クスクスクス……」
シャク……、りんごを口に含む
……味なんて分かるわけもねぇ
時計塔の中、ある部屋
きみの悪い人形とかが切られてそのまま吊られてたりする、とにかくボレぇ部屋
その静けさの中に微かな嘲笑
当然オレのだ
クス……、似合わねぇよ
オレがここにいることを密かに主張してんじゃねぇよ
それでも、口から出るそれは止まらない
だって、そうだろ
……クスクスクス
脳裏には多分もう消えることのない、ついこの間の光景が鮮明にリプレイ中だ
それを見てまた笑う
涙が出る
やめろって、オマエみたいな奴が泣いたところでキモい、キモいだけなんだよ！
……でも、嬉しいんだろ
実は本当かもって思ってんだろ
オレでもそれなりの人みてぇな事出来るかもしれないって期待してんだよな
クス、……クスクス！
でもな、そうやって期待してもどうせ結果は目に見えてるだろ
その汚い目にさあ
なんたってクズだからな
……にしてもバカだ、こんなオレだぜ？
こんな哀れで愚かで惨めで醜いオレに！
あいつ、……好きって言ったんだぜ
……ああ、こんなオレにバカって言われたら死ぬほど嫌だよな
……クスクスクス……
せいぜい楽しめよ、こんなこともう二度とないだろうからよ
オレなんか直ぐに要らなくなるからな、せめて数日、有意義に過ごせばいいじゃねぇか
……ハハ、無理だな
そんな器用なマネ、オレに要求すんじゃねぇ
シャク……、最後の一口
だが結局、味は知らない
つまりはこういうことなんだろ
あいつに好きと言われようとも何されようともオレには最後まで分かることなく終わるんだよな
……知ってるぜ、そんな事
クスクス………
どこまでも哀れなクズ、……ハハッ
「アッハハハハハ！！」