機動戦士ガンダムSEED 砂漠のコーディネーター
□Phase-01
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「隊長、今日着任するんですよ。迎えなくていいんですか?」
「迎えにいかなくても、直接レセップスに向かうようにって連絡しておいたから大丈夫だよ」
ほのぼのとした会話を展開しているのはバルドフェルド隊の隊長アンドリュー・バルドフェルドと副官のマーチン・ダコスタである。
「隊長、換気してくださいって注意したのに、してないじゃないですか!!」
「したつもりなんだけどねぇ」
「つもりって、余計に酷くなってますよ。結局、私が換気するはめになるじゃないですか毎回」
「毎回ではないだろう」
「それでも隊長は稀にしかやってません」
こんな会話が展開されている頃、アフリカ上空を飛ぶ輸送機では…
「終わったぁ〜。普通の所から砂漠に異動した事なんてないし、地上に転任したのだってカーペンタリアしか無かったから、今までの感覚と想像でやるのきつい…」
OSの調整が終わったのか、ウォンはコクピットから降りてきた。彼女の額には、うっすらと汗が浮かんでいた。この汗は気温のせいだけではない。
「飲み物とりに行かないと…」
彼女は、さっき昼寝をしていた部屋へと向かって歩き出す。すると…
「ウォンさん、もう少しで着くらしいですよ」
話しかけてきたのは、この輸送機のクルーの一人だった。
「マジで!?」
「だから、早く準備を終わらせてほしいと」
「大丈夫、全部終わったから」
「そうですか、機長にそう言っておきます」
クルーの彼は足早にこの輸送機のコクピットへと向かって行った。
「頑張ってるねぇ…」
彼女は一人、呟いた。一見、真面目そうに見える彼女だが、根はひねくれていて人を見下す癖がある。今まさに、その癖が出てきた所だ。
「努力したって無駄だってのにさ…誉められる訳でもなく、評価が上がる訳でも無いってのに、何で頑張るかねぇ…」
眉間にシワを寄せ、彼女は一人、格納庫の中に佇み、目の前のMSを見上げる。
そこには、インディゴ色に彩られ
た彼女の愛機"シグー・ディープアームズ・カスタム"が静かに立っていた。