機動戦士ガンダムSEED 砂漠のコーディネーター

□Prelude〜砂漠に降り立つコーディネーター〜
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「何?」

「だから、新しいパイロットが来るって言っているんですよ、隊長」

「新しいパイロットっていってもねぇ…。今の数で足りているのに、どうしてよこすかな…」

そう言いながら、コーヒーを飲んでいるのはバルドフェルド隊の隊長、アンドリュー・バルドフェルド。"砂漠の虎"として知られ、連合に恐れられている猛者である。
これと対峙しているのは副官のマーチン・ダコスタ。隊長が真面目になってこの話を聞いていないので苛立っている。
ここはバルドフェルド隊の旗艦であるZ.A.F.Tの大型陸上戦艦レセップスの中にある一室。 普段はバルドフェルドがこの部屋に籠ってコーヒーの焙煎をしている事が多い、この部屋でダコスタが口を開く。

「とにかく、もうすぐ着任するんですから、この資料に目を通しておいてくださいね隊長」

「分かったよダコスタ君。で、コーヒーを一杯飲んでいくかい?」

「結構です。それに換気してください、隊長。レセップス中がコーヒー臭くなります」

「分かった、今度から気をつける」

「気をつけるって言っておきながら、換気した事が殆ど無いじゃないですか」

「ふぅ…、今度やっておくよ」

"失礼します"と言ってダコスタは退室した。

「で、この資料の人が今度来るわけね…、まぁ頑張ってもらおうじゃないの」

一通り資料を見たバルドフェルドは、コーヒーを飲みつつ、こう呟いた。

その頃、アフリカへ飛んでいる輸送機の中。

一人の人物が周囲の慌ただしい光景とは裏腹に、のんびりと昼寝をしていた。

「ウォンさん、起きてください」

「ん…、何?もう着くのか」

"ウォン"と呼ばれた人物が体を起こす。ブロンドの長髪は少しボサボサで、着用している服も所々シワがついている。近くに藍色の紐があることから見て、いつもは紐で纏めていると考えられる。呼びにきた人物よりも随分と背が高い。場合によっては扉の枠にぶつかってしまうのだろう。そのとたん、

「痛っ!!」

枠にぶつかってしまった。

"大丈夫ですか?"と呼びにきた人物が心配するが、

「大丈夫だよ、いつものことだから」

と返していたことからして、日常茶飯事らしい。

「で、どこに着任するんだっけ?アフリカ方面だったような気がするんだけど…」

「はい、バルドフェルド隊に配属となります」

「なるほどねぇ…、分かった。俺の専用機、OSの調整って終わってるのかな?」

「まだです。って、OS調整は自分でするから、昼寝してたら部屋に起こしに来てくれって言ってたじゃないですか!!」

「忘れてた。急いでやらないと!!」

と"ウォン"と呼ばれた人物は急いでMSデッキに向かった。

ーこれは、通称"足付き"と呼ばれる地球連合軍の戦艦アークエンジェルが地球降下をする少し前の話である。
 

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