Short Short
□フェイク
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そして、私と雅のお芝居は幕を閉じた。
「もう、お芝居は終いじゃよ」
そう言った時の雅は苦しそうな表情をしていた。
その時私は、どうして雅にこんな表情をさせてしまったんだろう、と後悔した。
私が一番に望むのは雅の笑った顔なのに、私自身が一番雅を苦しめてる。
今もきっと、自分を責めてる。
全部私の為にしてくれた事なのに…。
「…雅、ごめん……」
流れる涙を拭うことも出来ず、フローリングの床に小さな水溜まりができた。
そして顔を上げ、今、出来る限りの笑顔を向ける。
「…今まで…あ、ありがとう…」
私がそう言うと、雅は一瞬驚いたような表情の後、小さく笑った。
そうだ、
雅は昔から私が笑えば、笑顔を返してくれた。
私の大好きな笑顔。
きっと
ずっと忘れないよ。
fin
本当は「ホンモノ」が欲しかった。
悲恋ものって読むのは苦手だけど、書くのは割と好きかも。
希望ある別れだとなお良しですが。
(2007.8.19)