カラフルラプソディ
□会いたかったっス!
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「…おっ!これって黒子がいた時の帝光中じゃね?」
男子バスケットボール部部室。
部活を始めるため各々が着替えや準備を進めていく中、2年の小金井慎二はベンチの上の雑誌に気付いた。
雑誌の表紙には堂々と“キセキの世代のすべて”と書かれている。
「本当だ…キセキの世代1人ひとりにインタビューしたんだな…」
小金井の隣にいた、同じく2年の日向順平はその雑誌を覗き込んだ。
日向は、男子バスケットボール部のキャプテンでもある。
「……あれ、黒子がいないぞ?」
「ああ…インタビューに来てはいたんですけど…忘れられました」
「「(悲しすぎる…!)」」
幻の6人目はインタビューすらも忘れられてしまうのか。悲しすぎる。
日向達は涙を流した。
「…お?マネージャーにもインタビューしたみたいだな」
「マネージャーすらインタビュー受けているのに…黒子…」
「えー、なになにー…“キセキの世代を支える2人の美人マネージャー”…だってさ」
「へぇ…あの藍原って子、本当にキセキの世代のマネージャーだったんだな」
「とても素晴らしいマネージャーでしたよ」
「可愛いマネージャーが2人もいて…キセキの世代ってのは羨ましいことこの上ないな」
結衣へのインタビュー記事を流し見ていく。
文面を読んでいると、バスケが好きなんだなというのが伝わってくるような内容である。写真も、とても楽しそうに笑う姿が載っていた。美人マネージャー、まさしくその通りだと言わざるを得ない笑顔だった。
その笑顔を見ると、先日リコが勘違いから結衣を連れてきてしまい、その結果悲しそうな、そして寂しそうな表情で「ごめんなさい」と告げたあの場面が思い出される。どうにも脳裏に焼き付く表情だった。
「あーあー…俺達にもこんな可愛いマネージャーがいたらなあ…」
「……お前、それ絶対アイツの前では言うなよ」
「…言えるわけないでしょ」
そんな話をしていると、部室に1年生が入ってきた。
なにやら急いでいる様子である。
「カントクが帰ってきました!どうやら、練習試合の相手が決まったみたいです!」
「お、そうか!今回はどこの学校と練習試合組んできたんだろうな」
「さあ…相手は分かりませんが…カントク、とても嬉しそうにスキップしていました」
「「スキップ!?」」
監督がスキップ、という言葉を聞いた瞬間、日向と小金井は一気に顔が強張った。
非常に嫌な予感が駆け巡る。というか、嫌な予感しかしない。
「え、あの…どうかしたんですか…?」
「……練習試合の相手…もしかしたらヤバいかもしれねーな…」
「……?」
表情の消えた顔で呟く先輩らに、降旗達は首を傾げるしか無かった。