うたプリ
□見つからない想い人
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「音也が戻ってこない…」
心配したトキヤはメンバーを集めて会議を開いた。時刻は23時を過ぎようとしている。
いつもなら20時前には戻ってきているのに… 一体、どうしたんだろうか…とみんなで考えている中レンが席を外す。
「レンどうしたのですか?」
「ちょっと捜して来るよ。みんなはもう寝ていいから…じゃ」
微笑んで軽く手を挙げてからレンは1人音也を捜しに行った。
外に出ると音也らしき人物が此方を向かって歩いているのが見える。
「イッキ」
声をかけて腕を掴むと驚いた表情でレンの顔を見る。それを見たレンは間違いなく本人だと確信する。
「れ、レン…」
「一体何時だと思ってるんだ?連絡もしないで何処をほっつき歩いてたんだい?」
「…ごめんっ…」
申し訳なさそうに頭を下げる。何かあったと見かねたレンは優しく自分の胸元に引き寄せて“話してごらん”と耳へと囁く。
“うん”と胸に顔を埋めてた状態で小声に話す。どうやら音也は遊んでいた訳ではなく、この間レンから貰ったプレゼントを
落としてしまったからそれを見つけるまでは帰る気にならなかったようだ。
「なんだ、そんなことだったのか」
「そんなことじゃないよ!!折角貰ったのに探しても探しても見つからなくて」
今にも泣きそうな顔をして声も段々と小さくなってきている。音也にとってレンから貰ったプレゼントは大事なもので、だから身につけていたのに…
休憩時間に外へ行った時に落としたんだと思いこんな時間まで必死に探し続けていた。
「イッキ、そこまで大事にしてくれてありがとう。でもね?プレゼントならまたあげられるだろ?だからそんな必死にならなくてもいいんだよ」
「でもっ…スゲー嬉しかったのに失くすなんて」
「イッキ」
強く抱きしめて言いかけるように音也へ言う。
「俺は君がものを探して帰ってこなくなったら、きっと自分を責めてしまう。
プレゼントならまた、あげるからそれよりも俺はイッキに居なくなられる方が辛いよ」
その声は震えていてレンも音也を探している間は早く見つけないと…何処にいるんだ?焦っていた。
自分にとってかけがえのない大切な人だから…
きっと、音也を見つけるまでその場を離れようとはしなかっただろう。
「ホント、ごめんねっ…」
音也はギュッと抱きついて頬にキスを落とす。
「いいさ。見つかったからね…でも、今度同じようなことをしたらお仕置きするよ?」
愛しそうに頭を撫でて何処か危ない笑みを浮かべるレン。その表情を見た音也は次から気をつけなきゃ・・と思うようになった。
「さあ。今日はもう遅いから帰ろう」
「うん!!」
2人は寄り添うように身をくっつけて寮へ向かった。
君に居なくなられると困るレンはこの日身をもって改めて思い大切な"彼"を手放さないように自分の心に愛と言う名の刻印をつけた。