うたプリ
□メガネを外した君
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「翔ちゃ〜ん」
那月/翔 部屋の2人は、いつもと変わらない日常を過ごしていた。
この日は那月が翔に色んな衣装を着せて遊んでいた。
「可愛いですぅ、次は河童さんにしましょうね〜♪」
ニコニコと笑っている那月とは違って翔は一方的に有無を言わさず着せられているので怒っていた。
半ば、いつものことだから…と諦めているものの那月による衣装合わせが始ってから彼是3時間。何も食べずにずっとこのまま…からといって、お腹が空いたというと那月の破壊的な料理が出てくる。
それはもっと苦手なので仕方なく着せられていた。
「……おい、那月いい加減にしろよ…」
さっきまで黙っていた翔が口を開いてやっと3時間。ムスッと怒りの表情の翔を見ても那月の顔はニコニコしたままで
「なんでですか?衣装はまだ、こんなにありますよ〜?」
「俺が疲れたって行ってんだよッ…ったく、何時間着せられてると思ってんだ!!」
悪気がないにしろ疲れたと口に出し怒鳴りつけると那月の反応はガラリ変わった。
今度は、一気に暗い顔になり衣装を手にしたまま下を向いてしまう。
「分りました…翔ちゃんイヤだったんですね」
急に暗くなるものだから翔も慌てだす。那月は、持っていた衣装を自分の布団に置き潜り込む。
翔は、ただ怒っただけなのに…そんなに落ち込むことあるかよ?と那月の布団へ
「わ、悪かったって、那月?」
那月のいる布団をゆさゆさと揺らして様子を伺うと同時に今にも泣きそうな声で那月が少しずつ喋りだした。
「翔ちゃんは優しいから、本当はイヤなのに僕のワガママに付き合ってくれてたんですよね。ごめんなさい、僕鈍いからそんなことも分りませんでした」
違うって、言ったら嘘になる。だから言えないけどせめて笑顔になってほしくて気休めと分ってい乍ら那月のフォローをした。
たとえ、事の始まりが相手だとしても泣かせてしまってはこっちの負けだと思ってる翔は
那月の近くに行き声をかけた。
「そんなに怒ってねーから、だから元気出せよ…お前がそうやって暗い顔になると俺も悲しいから…」
その言葉を聞いて那月は黙り乍翔の腕を引っ張り自分がいる布団へと引き寄せた。
「うわぁ…な、んだよ…っ…急に」
那月の顔が近くにある、恐る恐る見上げてみるとそこには満面の笑みで舌を出して微笑む那月の顔があった。
「て、てめっ…」
「はい。さっきのは演技です♪ダメですよ〜簡単に騙されちゃ☆」
まんまと那月の演技に騙された翔は今度こそ怒りが限度に達した。
「もう、しらねぇ…」
そっぽを向く翔だが今いる場所は那月の腕の中。逃げ場がない…
「怒らないで下さいよ〜ね?翔ちゃ〜〜ん」
好き勝手に頬を指で突かれるがムスッとしたまま翔は無口になる。