novel
□Sugar!
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リボーンの誕生日が明日に迫った金曜日の夜中。あと数分もすれば日付が変わってリボーンはひとつ成長する。部屋の明かりはつけたままだ。
「リボーン」
「なんだ」
「えへへ、呼んでみただけ」
「そうか」
今、ツナはベッドに腰掛けている。その隣にはリボーンが。
こてん、ともたれ掛かった。まだまだ小さいその体にもたれるには少し体格差が有るが、今はこうしていたいのだ。
以前のリボーンなら少しでも触れようとをした日には銃弾が飛んで来ていた。いつからそれが無くなったのかは覚えていない。
(あったかいな)
最近、夜はとても寒くなってきている。人肌が心地よいと思えるほどだ。
リボーンがツナの髪を透いた。サラリと溢れるキャラメルブラウンに優しく目が細められる。
時計の針が12時を指した。日付が変わったのだ。
名残惜しそうにベッドから立ち上がり、勉強机に向かうツナ。上から二段目に仕舞ってあるプレゼントを取り出すためだ。
再びリボーンの横に座り、小さな袋を渡す。
「ハッピーバースデー」
「ありがとうだぞ、ツナ。開けて良いか?」
「う、うん」
淡い黄色の袋で口がオレンジのリボンで閉じられていたそれが、リボーンのきれいな指によってほどかれていく。
それを緊張した面持ちで眺めるツナ。
袋から出て来たのは、グリーンと黒の玉が交互に入ったブレスレットだった。
「それ、パワーストーンなんだ」
「黒はオニキスだよな?」
「うん。トラブルから身を守ってくれる石なんだって」
リボーンは近頃、ヒットマンとしての仕事を受け出した。その中にはやはり危険な依頼というものもある。心配でならないのだ。
「緑の石は?」
「セラフィナイトって言うらしいよ。癒しの石、だって言ってた」
殺伐とした戦いの中で、少しでも癒しを、と思い選んだ物だった。
「嬉しいぞ、ツナ。オレのために選んでくれたんだろ?」
「う、うん。気に入って貰えたかな……」
当たり前だぞ、と言って頭をなで回す。
「わわっ! くすぐったいって、リボーン」
心底喜んでいるようで、内心ほっとしたツナ。
「ねっ、着けてみてよ」
「ああ、わかったぞ」
左手にブレスレットを通す。
「良かった、サイズピッタリだね!!」
「だが、直ぐに合わなくなるぞ」
「それは大丈夫。これ、実は作ったのオレなんだ。パワーストーンも多目に買ってるからサイズは直せるよ」
因みに、リボーンが寝ている時に作っていたそうだ。その時に手首のサイズも計ったらしい。
人に手首を触られて起きないだなんで自分らしくないと思ったが、ツナだから、そして心から信頼しているからか、と思うと顔が緩む。
「と言うことはツナはこれからもずっとオレといてくれるんだな?」
「リボーンが嫌じゃなかったら……その……」
不安げに視線を落とす。そんな小さな事にさえ愛しいと思ってしまう自分は大概狂っている。
「オレがお前を嫌いになるはず無いだろう? それよりオレはツナが心配だぞ」
「オレだってリボーンの事嫌いになるわけない!! この気持ちに嘘偽り何てないっ」
涙目になって訴えるツナを抱き締める。
「悪かった、そうだよな」
優しい声色で囁くと戸惑いがちに、そっと抱き締め返すツナ。
「愛してるぞ、ツナ。これからもずっと一緒だ」
「うん。オレも愛してる。ずっと一緒にいようね」
この先、何があっても、ずっと……。
誓いを込めて二人は触れるだけの優しいキスを交わした。
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リボーンさん、誕生日おめでとーう! 何とかギリギリ間に合いました……。途中で3000字消えるし、最後の方を書いてた時は私が恥ずかしくなるしで。なかなか終わりませんでした。
あ、このブレスレットを外すことはなかったそうですよ。任務前にはブレスレットに口付けしてから挑んでいるそうです。
因みに今月の31日までフリーとさせていただきます。一言報告して頂けると嬉しいです。
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