novel
□Sugar!Sugar!!
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一週間後はリボーンの愛しい教え子であるツナの誕生日だ。
1日違いで産まれてきたと言うことに運命を感じる。
ツナのことを思うと、いつもの無表情は何処かに消え去ってしまう。駄目だ今は仕事だ、と頭を振り集中する。角の向こうからの殺気は10。
今日は土曜日だが実は昨晩から任務のためにイタリアに飛んでいたのだ。依頼はティモッテオからで、内容はツナのことをしつこく追いかけ回しているファミリーの殲滅だった。
リボーンが追い払っていたお陰か、並盛からは撤退しつつあるようだが、どうやらボンゴレ本部にハッキングして情報を得ようとしているらしい。
そんじょそこらのファミリーより警戒体制の強いボンゴレにハッキングなど、愚の骨頂だ、と鼻で笑ったのは記憶に新しい。
ツナも初めの頃と比べるととても強くなった。本人が努力したから、結果として今のツナがあるのだ。
だから少しの間ならば離れても大丈夫だと踏んで、こうして遠い異国の地で彼のために動いているのだ。残党ならば彼の守護者が動くだろう。不安なんて無かった。
(不安はねぇが会いてぇな)
ズドンと心臓を貫く。実に淡々とした作業だ。どうやら人数だけはあるらしく一向に減らない。
(まぁそれでも負ける気はしねぇが)
角を曲がるとまた襲い掛かってくる。弾だって、撃った瞬間に避ければ当たらないと言うことを知らないのだろうか。それとも人数がいるから多少のヘマは大丈夫だとでも?
(ふっ、甘いな)
口の端をニヤリと吊り上げて笑う。と、敵が怯んだ。そして発砲音が数回鳴り響いた。
「リボーンくん、お疲れだったね」
ボンゴレ本部の現ボスの執務室に入った途端に労いの声をかけられた。
「いや、大丈夫だ。なによりボンゴレ十代目を護るのも"家庭教師"の契約内に含まれている」
真面目な顔つきでそう言うと、九代目は朗らかに笑った。
「それだけじゃ、無いだろう?」
なぜ、と思ったが、それも一瞬の事だった。
腕を組み、なるほどとひとつ頷く。
「超直感か」
「確かにそれもあるが、何より君の表情が生き生きとしておる」
目を見開く。ポーカーフェイスで隠していたはずなのだが。
「綱吉君のお陰だろう?」
嘘をつく理由もないので素直に肯定をする。
「君たちが幸せならばわしは何も言うつもりはない。しかし、綱吉君が悲しむようなことがあれば、問答無用で君達を引き離す。それだけは覚えておいて欲しい」
眉間にシワを寄せて、口調を強くするティモッテオ。その言葉にリボーンはふっ、と鼻で笑った。
「そんなことは絶対にねぇな」
「まぁ、わしも君たちならば大丈夫じゃと思っているがね」
「当たり前だぞ」
それを聞いて安心したようにティモッテオは胸を撫で下ろした。
「そろそろ日本に帰るぞ」
「すまないが、これを綱吉君に渡しておいてくれないか?」
ことりと執務机の上に置かれたのは綺麗な紙でラッピングされた小箱。ツナの誕生日に合わせて買っておいたのだろう。 本当ならば直接渡したかったのだが、と心底残念そうな声を溢す。
「了解したぞ」
その小箱をポケットに捩じ込み、執務室を後にした。
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