輪廻再会
□伍話「賞賛」
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女中さんが持ってきてくれたのは三枚の着流しのほかに髪結い用の紐。
俺や弁丸様は勿論のこと、佐助も案外髪が長い。
それに気付くとは、あの人ベテランだな…
綺麗にたたまれている着流し。
紫混じりの闇を思わせる黒い着流しに
春の森を思わせる爽やかな浅葱色の着流し
そしてここのシンボルカラーでもある目が覚めるような紅の着流し
サイズ的に
黒が俺。
浅葱色が佐助。
紅が弁丸様といったところか。
いや、まあ、弁丸様のはサイズが違わなくても分かるけど。
「若様、少しあちらを向いてもらえますか?」
「む?わかった」
着ていたものを脱がした後、
後ろから着流しを通させ、少しくつろげて前をあわせ、帯をきっちりと締める。
「佐助、あと頼んだ」
「はいよっと」
俺の出番はここまで。
すでに着替え終わっている弟に場所を譲る。
役割分担をすると同時進行が出来ていい、って言う理由がほとんどだが…
「弁丸様、先程までの結い方でよろしいですか?」
俺、髪を結うとか細かい作業苦手なんだよね。
出来ないわけじゃないんだけど。
特に裁縫は壊滅的だ。
コレはもう出来ないと言っても過言じゃない。
そんな俺のかわりに細かい作業をやっていたせいか佐助はそういう類が大の得意だ。
かすがは俺と同じで細かいことは苦手だしな。
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