輪廻再会
□壱話「家族」
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何が大切か、やっと分かった
壱話「家族」-大切なもの-
「アレからもう…7年か」
背の高い、恐らく杉の木だろう。
その一番高い位置にある枝に立つ人影。
背の丈から、子供なのだろう。
だが、フードのようなものを深く被っているせいで少女なのか少年なのかまでは分からない。
上着はポンチョのようなもので腰の位置までを覆っているが
それ以外は袴や籠手、鎖帷子など、時代錯誤にもほどがある。
ポンチョ以外のもはまるで、戦国時代の防具のよう。
…それもそのはず、彼は、戦乱の世を生きる忍、なのだから…
7年前、崖から転落し肉体を失った少女の魂は巡り、
何の因果か彼女が好きだったゲームの世へと産み落とされたのだ。
性別をも変えて。
少年になってしまった少女は何かに呼ばれたかのように枝から飛び降りた。
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