臥竜鳳雛なお姫様
□壱-春の気紛れ-
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「ふぁ……」
ぽかぽかとした春の昼下がり。
窓辺から差し込む日差しに瞼が重くなった。
これじゃあ勉強になりゃしない。
開いていた本を閉じ自分の背丈に合わない高い椅子から飛び降りる。
見上げると首が痛くなるほどの丈の本棚が並んでいるここは図書館。別名ボクの城だ。
本棚の間を人目につかないように歩いていく。
ここに住み着いて何年になるだろう。
3つまではかろうじで育ててもらっていたから…約4年だろうか。
ここにある本もほとんど読み終えた。
別の図書館に行ってもあるものは同じだろうし…新刊を待つしかないか。
そんなことを考えていたら目的地に到着した。
倉庫とは名ばかりの空き部屋。ここがボクの目的地。
身長の関係で触れることすら出来ないドアノブに近くに置いてあったタオルを引っ掛ける。
そして力の限り引っ張れば良い。
このとき転ばないように気をつけなくてはいけないが。
開くドア。
その中には完全にボク専用として整えられた部屋、
があるはずだった。
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