輪廻再会

□壱話「家族」
4ページ/10ページ



「じゃあ、師匠はそこに居てくださいね。
何があってもそこに。いいですね」


返事はいらない。

フードを寄り深く被り敷居をまたぐ。
その瞬間に飛んでくる石。


バシッ


それは海都の左太ももに当たり鈍い音を立てた。

だが彼は止まらず、少年と少女の下へと足を進める。

少年と少女に困惑が走り、飛んでくる石の力が弱まった。


それでも当たれば鈍い音をたてる。


防具あろうが、痛いものは痛い。

そう、痛い。痛覚がないわけじゃないんだから。
今すぐにでも膝を折って、蹲って、泣き出してしまいたい。

でも、でもさ、だからって逃げるわけにはいかないんだ。

あの子達の拒絶に、立ち向かわないわけには行かないんだ。


師匠が俺に頼んできたことだし、それに…


「「…っ」」


あんなに辛い顔をして、助けを求めてる子供を放っておけるわけないじゃん。


「こうゆう、痛いのは慣れてるんだ。この7年間、毎日だからな」


さあ、あと一歩だ。

これで、あの子達に手を伸ばせる。



バシッ
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ