輪廻再会

□壱話「家族」
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連れてこられたのは里の少し外れにある小屋。
鬱蒼とした木々のせいで、日の光はまったくと言って良いほど差し込んでいない。


いつまでたっても戸を開けようとしない師匠に呆れた目を向け、勢いよく戸を開けた。


すばやく体を横にずらせば元々頭があった位置を通過する石。

中から聞こえた舌打ちは気にしないことにする。

明後日の方向を見つめる師匠の足を踏んづけた。


「警戒心強い所じゃねーよ、殺意もたれてんじゃねぇか」

「…すんません」

「・・・」


師匠が素直に謝るから調子が狂った。

はぁ、とひときわ大きなため息をついて中を見る。

五畳ほどしかないその小屋には、射殺さんとばかりにこちらを睨む少年と少女が居た。


「俺には近付いてさえくれない。年の近いお前なら…と」


勝手な物言いに、今はもう隣に居ない親友を思い出す。

転生して7年。
使える時間を最大限に駆使しても見つからなかった親友を。


(…悪びれる分師匠のほうがまし、か)


いつも隣に居た存在。

だけど不思議と、隣に居ないことが寂しく感じることはなかった。


恐らく、確信があったからだろう。
この世界のどこかに、あいつは必ずいると。



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