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□ロストエデン
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よろよろと立ち上がり散らかされた制服をかき集めようと腕を伸ばすと腰に鈍い痛みがあった。その痛みに顔を歪めタミヤを睨むと目が合った。すぐに逸らされた。
堅い床に所々残る血痕のあとと精液のにおい。吐き気がしてむせ返り胃の中のものが全て戻される。消化されてどろどろになった給食であろうものと口内に残ったべたべたとしたもの。
「…ごめん」
「やめろ言い訳なんて聞きたくない。」
貴様の顔など見たくないというのが僕の本心であり今貴様が殺したいほど憎い。今更謝罪の言葉なんて聞いたらそれこそ飛びかかってお前の首に食らいついてやる!
その意味を込めてまたタミヤを睨むのだが、彼は古いソファーに腰掛け膝の上に堅く握った拳を置いて俯いているばかりだ。
先ほどの勢いはどうした。鼻息を荒くして人の上に乗っかって、ただがむしゃらに僕を犯したさっきの勢いはどうした。
抵抗すると殴られる噛み付かれる首を絞められる、僕は抵抗することを止めたのだった。
それが今はその勢いをすっかり無くしてまるで牙を抜かれてしまった蛇のように、ただ頭を垂れて俯いているだけだ。ときどき発する謝罪の言葉は低く蚊の鳴くような声なのだ。
「ほんとごめんゼラ…ごめん…」
「謝って許されることじゃないけどさ」
「がまんできなくて」
「俺達相思相愛なのに」
「セックスしないなんて」
「ごめん…ゼラ、痛かったよな?」
「もっとやさしくしてやれば血も出なかったのにな。」
「ごめん…ごめん、ごめん。」
おいちょっとまて。
「僕がいつおまえのことが好きだと言った?」
後ろから抱きすくめられる。
驚いてその場に腰を抜かせばぐりぐりと背中当りに当てられる硬いもの。
冗談は大概にしてほしい。
END