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□恋する君はビックスター
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どれくらい前の話だろうか、ジャイボが嬉しそうにゼラの後を付いていく姿に不快感を覚えたのは。
どれくらい前の話だろうか、ジャイボが遅くまでゼラと基地に残りなにをしているのかを知ったのは。
そのときの、驚愕というよりは悲しみ。薄々勘づいてはいた。
そんなことを考えている間にも、なぜかジャイボは俺の横に座り
話しかける訳でもなくただ俺の事を見つめている。
ジャイボの瞳は真っ黒で、それは夜の闇によく似ている。

「ジャイボ、今でもあれやってんのかよ?
 その…ゼラのアレをしゃぶるの」

「アレって?ペニス?」

「ばっ…お前!せっかく避けてたのに直球で言うなよ!」

「きゃは!タミヤって意外とシャイボーイなんだね!」

まるで誤摩化すようにけらけらと俺を笑うジャイボに「どうなんだ」と問うと、
んーと首を傾げた。「なんで知りたいの?」と逆に質問されて俺はなにも言えなくなる。
ジャイボはまたきゃはと楽しそうに笑った。

「してるよー」

百も承知で聞いたのは、淡い期待と嫉妬が混じり合っていたからであって。
予想通りの答えに苦笑して、ジャイボの頭をぽんぽんと撫でる。
じっとまた俺を見て、その瞳の中にはしっかりと俺が映っていた。
そのことに優越感を覚えるほどに俺は重傷であった。


「ジャイボ、精子ってどんな味するんだ?」

「えーなにそのえげつない質問。」

「苦いって聞いたことあるから」

「甘いよ、君には一生解らないだろうけど、
 すっごく甘い、なによりも」

甘ったるくて僕融けちゃいそうだ!
急に立ち上がって叫ぶもんだから周りは俺達に視線を集めた。

「タミヤのも舐めてあげる、って言ったらどうする?
 きゃは、冗談だよ。タミヤのなんか噛みちぎってやる
 …?タミヤ?」

「…そんなに甘いなら、俺のも飲んでよ」

ああ、俺は馬鹿だ。




END

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