シルバーファイブ
□シルバーファイブ79
3ページ/4ページ
「ケッホカッホくぁ!」
酸素マスクをしていても、発作は止まらず吐血を繰り返す。
治癒しているはずだった。
それなのに・・・。
安定剤の注射をしても、もう、治まることはなかった。
苦しそうに、ただただ、吐血を繰り返す。
鮮やかな赤い水が、目の前のものを、赤く染め上げる。
「友!」
「ゲッホゲッホ!カハッ!!」
私の兄は、体力の限界まで吐血が治まらなかった。
消えそうな友とは対称的過ぎる赤。
白い肌は、微かに青く透け始めているようにも見えた。
私は、気付いていた。
今日が、最後の日だって。
涼香が、鈴が、静が、海飛兄がどんな治療方法をしても。
全て無意味だって分かっていた。
.