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□寒さなんて感じない
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学校の帰り道、はーっと息を吐けば白い息が広がって消えた。



「寒いなぁ」

最近では暗くなるのも早くて空には星まで出ている。
そんな空をじっと見上げていると冷たい風が勢い良く私を通り抜けた。

途端ぶるっと震える体。うぅ、寒い。寒さに弱い私は体を丸めて再び歩き出した。



しばらくして聞こえてきた足音。何だか走って近づいてきている様子。


「よっ!」

ドンっと私に体当たりまじりなことをしてきた足音の人物は岳人だった。


「痛いんですけど!」

「がはは!気にすんな!」

「岳人のバカ」

「なんだと!」

「あはは!気にすんな!」

私と岳人は笑い合いながら肩を並べて歩きだした。
そしてやっぱり寒い空気、風が吹く度に私は縮こまる。

ふと自分の手を見れば指先が赤くなっていた。

「うわー!赤いっ!寒いっ!」

「あーもう、手かせよ」

「えー何で?」

「最近寒くなって来たし、さ」

暖めてやるよ、そう言って私の左手をとると岳人はへへっと照れくさそうに笑った。

カーッと私の体内温度は上昇して、この寒さには丁度いいのかもしれない。とか思ったけれど丁度いいなんてもんじゃない、暑すぎる。恥ずかしい、

もうさっきまで感じてた寒さなんてどっか行っちゃったよ。そう思った事は岳人には内緒にしといた。





end.

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