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□ショートした
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「なぁ、今日が何の日か知っとる?」
私は忍足君の言葉に首を振り、小さく首をかしげる。
今日が何の日かなんて知らない。
私が黙っていると頭の上にポンっと大きな手を置かれ、た。途端、左右に大きく揺れるその手。私の髪の毛がボサボサに振り乱される。
う、わあ
「な、なな何するのっ!」
「いやぁ、ほんま鈍いやっちゃなぁ」
そう言って私の髪の毛をボサボサにして笑う忍足君の笑顔を見るときゅうっと心臓が痛くなった。
「今日は俺の誕生日やねん」
「え!」
「せやから、」
こそっと私の耳元に囁いた。
「俺の彼女になってくれませんか」
一瞬思考が止まったけれど、ふわりと笑う忍足君の顔を見ると一気に私の顔に熱が集まった。熱い熱いあつい、よっ
「あ、う、えと、」
「嫌なん?」
嫌な訳ない!
けれども私の口は、考えとは裏腹に言語の成り立たたない言葉を繰り返す。
「ほんま可愛い」
そう言って私の頭を今度は優しく撫でる忍足君に私の思考回路は完全にショートした。
私の口がちゃんと機能するのは数分後のお話。
end.