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□静かにそっと
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机に座り、頬杖をついて私は窓の外の景色を眺めていた。


「なあなあ」
「…」
「何で夏って暑いんだろーな」
「…」
「何でさ納豆ってあんなに旨いと思う?」
「…」
「何で、納豆って腐ってんのに賞味期限あんだろー」
「…ねえ岳人、うるさいんだけど」

出来る限りの嫌な顔をしながら私の右側に座っている岳人を見ると、キョトンとした顔をされた。何、可愛いとかで騙されないから私!

「なんだよ、俺はお前が喋んねーから、」

ムスッとした表情で俯きながら岳人は足をパタパタさせている。

「私は今外を見てんの」
「外になんかあんの?」
「あ、宍戸だ」
「俺の話聞けっつーの!」
「お昼休みまでランニングとは青春だね青春」
「…もういい」

今度こそ静かになった岳人を気配だけで感じて私は窓の外を見たまま。空は青くて雲は白い。

「ねぇ岳人」
「うっお、な、なに!」
「寂しいね」
「…お前いきなりどうしたんだよ」

頬杖をついたまま横目で岳人を見れば訝しげな顔の岳人。
「別に」

いきなり沸き起こるどうしようもない程の寂しさ。私が生きている意味を求めたくなった。ただそれだけ。
くだらない私の疑問だ。




「…まぁ、お前には俺がいるんだし、んな寂しがる必要ねぇじゃん!」


真剣に、真剣に。

真っ直ぐ過ぎる岳人はくだらない私の悩みを受け止める。


「岳人のくせに生意気だよ」
「うるせー」
「岳人がね」
「…もういい」
「うん、ありがとう」

そういって私はまた目線を窓の外に戻す。岳人は岳人で頬杖をついて俯いていた。

ありがとう寂しくないよ。
ありがとう悲しくないよ。
君の気持ちが伝わってくるから。



私の右手と岳人の左手は誰にも見られない様にひっそりと繋がれていた。

そんな私と岳人のやりとりを伊達眼鏡と居眠り小僧が見ていただなんて私も岳人も知らない。





静かに繋がれた手


(あの二人ほんまかわええなぁ)
(うんうん。仲良しなんだね〜)




end.

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