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□片耳イヤホン
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あぁ暇だ。何故に私が待たなければならないのか。
私は一緒に帰る親友が委員会があるらしくそれが終わるのを教室で待っている。
携帯いじっても楽しくないし…。音楽でも聴いてようかな…。
最近知った女性バンドでお気に入りの曲。携帯にイヤホンを差して曲を流した。
やっぱりいい曲。
それは恋愛ソングでどこにでもあるような小さな恋心を歌っていた。
「何聞いてんだ?」
私はいきなりヒョイッと右耳の方のイヤホンを取られた事にビクッと身体を震わせてしまった。誰もいないって思ってたんだもん!
そして右側を見れば跡部の顔が真近くに。
「うわぁっ!」
「うるせぇ」
ゴンッという鈍い音が私の頭上に。邪魔したのは貴方でしょうよ。
「女の歌か」
私から奪った片方のイヤホンを耳に当てて跡部は横の机に座った。
(椅子に座りなさいよ椅子に)
跡部は無言で、私も無言。
ただ二人の間にあるのは片方のイヤホンから流れる音楽だけ。
あぁなんだか恋愛ソングなのが恥ずかしいかも。跡部の事だバカにするに決まってる。
一人グルグル考えこんでいるとポツリと跡部が声を漏らした。
「いい歌だな」
「…まぁね」
跡部は聞き入ってるみたいでその表情はとても綺麗だった。
ま、友達待つのも悪くないかな。
(教室入り辛いんですけど…)
(なんや嬢ちゃんもか。俺もやねん)
(…ほっとく?)
(…そうやな)
end.