小説

□甘い夢想なんてナンセンス
1ページ/1ページ




ぱくりと弁当箱の蓋を開けると健一は
「先生は食べへんのんですか?」
といった。

「夏、食欲ないんだ」

白衣の白が反射して目を焼く。
皮膚が焦げるかのような日差しの下、ほんの気休めみたいな屋上の日蔭。そんな俺の言葉に解せないような顔をしながら健一は、昼飯へと手をつける。

「じゃあ、食べますよ?」

いただきますと小さく呟いて健一は白飯を口へ運んだ。

俺は、それを、見る。





もぐもぐと咀嚼して細かくして
ゆっくりそれを嚥下する。
ふかふかと柔らかそうなだし巻き卵を食べやすいように半分に割る。
白くて真っすぐな指が上品に箸を扱うのに育ちのよさが透けてみえる。
野菜炒め、のピーマン
健一の味雷が感じるであろう苦味を先回りして俺も感じる。

「…そんな見んとってください。」
「なんでよ」
「…食いにくいから」

ごくごくとペットボトルの麦茶を飲み下す喉が上下する。
白い首筋に汗が伝った。




俺は、健一がなにか物を食べる姿に何か沸き上がるような感情を覚える。
なんでも旨そうに食べる、というのも理由の一つ、だが
物を食べる、生に繋ぐ、
そんな当たり前の事が、なんだか至極、生々しく感じるのだ。
服を着、理論をそのうえに身に纏う。厚着をした人間の、本能が見える気がして。


食事の時はセックスと同じ様
俺も肉食動物だが、
健一も肉食動物だということに、気付く。


「!…、なにするんですか…」

健一のカッターシャツの中に手を忍ばせると叱られた。
文句なら自分自身に言ってくれ、と俺は引かない。

素肌は汗ばんでしっとりとしている。
臍、腹筋、横腹、胸板と順々に手を沿わせると健一はくすぐったそうに身をよじった。


「おいしい?」
「んッ、……ん」

執拗に乳首を指で転がすと殊勝に振る舞っていた健一の顔が歪みだす。
ぷくりと主張し始めたその尖りを押し潰すように愛撫する。

「あ、そのまま食べ続けて」

そう言ってカッターシャツを捲りあげると健一は眉を潜めた。

「…ヘンタイ」

そう零したが向こうもなんだか愉悦を感じ始めたらしく挑むような目でまた食べ物を口に運び始めた。



喉を触る、かみ砕かれて溶かされた食物が通るのがわかる。
もっと近づきたくて、知りたくて、ソコに歯をたてるとなんだか俺が健一を食べているような気になってきた。
ご飯を飲み下す健一の喉に噛み付く俺
ふと食物連鎖の系図が浮かぶ。

頂点は俺、か
そんな誤解すら楽しくて、俺は歯型のついた首筋を丹念に舐めあげた。



「ん…ちゃんと、ごはん、たべなさいよ…」

「…塩分は健一クンからとるから、いいんだよ」

「…ほんっと、すくいようないな…」


まるで赤子が母にそうするように赤く熟れたソコに吸い付く。
(溶けろ、溶けろ溶けろ)


「口、止まってるけど」

「うっ、さい…」

つよがりを聞き流し柔らかく急所を握りこんでやるとカラカラと箸が転がる音がした。


「…お弁当、たべたかったのに…」

「もう陥落しちゃうの?」

「お前のせいやろ、ヘンタイ教師…」

そう言いながらゆるりと手を回してくる。

(若いって、いいね)


跳ね返る光に目を細めながら、
俺は眼鏡を外す。





甘い夢想なんて、ナンセンス







(衝動で生きれば、いいじゃない)

髪の毛に手を絡めてくちづける。
どんなシチュエーションでも、キスは至極甘かった。

















―――――――――――――――
変態教師sk×生意気生徒sz^^
某だいすきサイト様に感化されてフェチシズムを追求してみた…
綺麗な男の子が(適度な上品さを残しつつ)がつがつご飯食べるのて、いいよね…!

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]