小説
□メロウな関係
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The children needs a lot of love
「なぁ、孝宏ぉ」
後ろから健一が抱き着いてきた。
奇跡的にオフが重なった俺達はぐだぐだとつかの間の休息を謳歌していた。
一緒にいるのに違う事をして、腹を立てる時期もすぎた、ふたり。
穏やかで海のような温い午後
健一はひよりと遊んでいた、はずだったのだが。
健一の体温は子供のそれ
体の燃費がいいのかいつも熱いくらいだ。
背中にとくとくと鼓動を感じる。
首筋にふわりと柔らかい髪の毛が触った。
「どーした？」
肩越しに振り返るが表情は見えない。それは、俺の服に顔を押し付けているから、で。
「もうちょい待ってて」
そう言ってきりがいい所まで読んでしまおうと今一度台本に目をやると、健一はますますきつく抱き着いてくる。
「んー…たかひろー」
ごねるように頭をぐりぐりと肩口に押し付けられる。甘えたモードのこいつには何も効かない事を長年の経験でわかっている。そして、俺がそれに甘い事を、健一も、わかっている。
苦笑しつつもまんざらでもない俺は、かわいそうな台本をドッグイヤーに折り曲げた。