†NOVEL†

□†Obedient Love†
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『もうリーバー君なんか知らないッ!!好きにすればいいよッッ!!』
『言われなくても好きにさせてもらいますよっっ!!』

切っ掛けなんか些細で、どうしてこんな風にしか言えなかったのか、どうして自分はこんな風なのか。
時々自分が凄く嫌になる。
素直になれない自分。
貴方が嫌いなわけないのに。
貴方に嫌われたくなんかないのに。
俺には、素直に貴方に縋る勇気もない。












†Obedient Love†











室長と喧嘩した。
今まで何回か喧嘩したことはあったけど、あんなに言い争ったことなんかなかった。
俺は唯、任務から帰ってきたアレンの頭を撫でてただけ。
そう、別に変な意味なんかなかった。
唯、アレンはまだ本当に子供で、黒の教団に来て間もない。
少しでも居心地のいい空間だと思って欲しくて、でも、特別気に掛けてるわけでもなくて。
他のエクソシストたちと扱いは変わらないって思ったのに。

――リーバー君。アレン君のことお気に入りだよねぇ――

嫉妬をするあの人の視線は、背筋が凍るほどに冷ややかだ。

――気をつけないといけないね、アレン君にリーバー君取られないように――

今まで、あの人がここまで凍りつくような嫉妬を見せたことがあっただろうか。
アレンに対して敵対心を向く室長が理解できなかった。
だから、『アレンに限ってそんなことがあるはずがない』と、言っただけ。
それに烈火のごとく怒り出した室長に、正直恐怖心を抱いた。
この人が声を荒げて怒るなんてこと、今まで一回もなかったのに。
俺には、いつも優しい笑顔だけを向けてくれている人だったのに。

――どうしてリーバー君はそうなのっっ!?どうして分からないのっっ!?――

何が分からないと言うんだろうか?
アレンはまだまだ子供だ。
無邪気で、でも重くて暗い過去を、今もこれからも背負っていかなくちゃならない。
だったら、少しぐらいの安らぎと優しさを与えてやったっていいじゃないか。
そう思って反論した。

――もうリーバー君なんか知らないッ!!好きにすればいいよッッ!!――

そして俺が返した台詞が、『言われなくても好きにさせてもらいますよっっ!!』だったわけだ。




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