-花と緑の-
□最終話 『花とヌヌ』 その三 エピローグ
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シーンT:僕らの勇者(1/3)
「――……ぅほぅやぁいぃただきますっ!?」
叫んで跳び起きて、あたしは寝ぼけ眼で辺りを見回す。ぱちくりと、瞼のない目玉を見開く緑のヌメヌメと目が合った。
「なんつー寝言だよ」
「んあ、ヌヌ……あれ?」
いまいち状況が飲み込めないでいるあたしに、ヌヌは「どこから話したものか」と一つ唸り、
「一日経ったぞ。あのあと気ぃ失ったんだぜ、ハナ」
そう言って横合いを指差す。窓から見えた空は日が高く、どうやら昼間のようだった。
「数日は目を覚まさないだろう、とかウィザーモンは言ってたんだけどな」
「わあ、丈夫。てゆーかワルもんざえモンは? あとあの、ブラストモン」
特に何の後遺症もなく次第にはっきりしてくる頭で、あたしは最後の記憶を掘り起こす。
ヌヌの渾身の一撃を受けたワルもんざえモンは倒れて動かなくなり、それから……のことは一つも思い出せない。その辺りでヌヌの言うとおり気を失ってしまったのだろう。いったい何食逃してしまったというのか。昨日の夕食はなんだ。
「うん、もう大丈夫そうだな。昼飯ならもうすぐだぜ」
「ぐう」
腹の音で返事をして、あたしは昼食までの間、ヌヌから“あの後”の話を聞くことにした。