-花と緑の-

□第四話 『花と伝説の……』
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シーンW:戦いの地へ(1/3)

 
 もじゃもじゃ村から北西へ徒歩数時間。ジャングルを抜け、荒野を進んだ先。やがて見えてくる採掘場に盗賊団の根城はある。らしい。
 荒野の先は一面山岳地帯だそうで、山なら辺りにいくらでも聳えているわけである。首刈りの峰とやらは誰に聞いても知らないと言われたが、恐らくはその辺りの山のどれかなのだろう。きっと。多分。

「とりあえずは盗賊んとこ目指しながら道中で剣探し、的な?」
「的な感じかな。見切り発車って言葉が脳裏を過ぎったけど」

 こん棒を片手に、リュックを背負って村の広場で大きく息を吐く。言われるまでもなく計画性の無さは自覚できていたが、今度こそお腹いっぱいご馳走を食べるためにはそれでも前へ進むしかないのである。まあ、昨日は結構余っちゃったみたいで、残り物を朝ごはんとお昼のお弁当にたっぷりいただいたところではあるのだけれども。ところでどうでもいいけどこんなジャングルに電車なんて走っているのだろうか。

「ま、何にせよ北西だな」
「そうね。そんじゃあ、とっとと行ってさっさと片付けるとしますか!」

 ご飯のために。という最後の言葉はどうにか飲み込んで、腕が鳴るぜとばかりに肩をぐるぐる回す。端からは正義のために戦おうとしているように見えるだろう。ヌヌと村人たちの視線に若干の罪悪感を覚えた。うん、ごめん。正義のためにも戦うから。

「どうかお気をつけて」

 そう言って少し心配そうに見送ってくれたウネ子ちゃんに笑顔で手を振って、あたしたちは村を後に、密林を北西へと進んでいく。
 
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