□第八夜 金色のアポカリプス
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8-4 進撃の聖徒(1/5)

 
 ち、と舌を打つ。背の砲を構え、石畳を砕かんばかりに踏み締める。照準は空の編隊。まだ遠く、おまけに警戒までされてしまったが――これより後にこれ以上の機もあるまい。

「ぶっ……放せえぇーー!!」

 低く重く、石壁を震わせる号令。と同時にエルドラディモンの背の古城から走る一条の閃光。それに続くように城の各所から光が瞬き爆音が鳴り響く。あるいは砲弾、あるいは誘導弾、あるいは粒子線。多種多様な砲撃が城に潜んでいた砲兵から次々に放たれる。火の尾を引くその弾幕はさながら流星群。静寂に似た間隙を置き、弾ける烈火、爆ぜる轟音。両軍入り乱れる戦場の空が、唐紅に染まる。そうして――ち、と二度目の舌打ち。

 仰いだ空には、着弾空域から砲撃の直前に離脱した友軍。と、更にその直後に同様に離脱したのであろう敵軍の姿が視認できた。恐らく大部分は砲撃同士による誘爆。命中率は正味、一割にも満たないだろう。

 本来であれば先の大竜巻に次ぎ、その討ち漏らしを追撃する手筈であったが……さすがは勇将・クロスモン、とでも言うべきか。“エルドラディモン”の出現、紺碧の海の兵団の強襲とその将“メタルシードラモン”による砲撃、そして我ら“赤銅の谷”の兵団による更なる追撃。三段仕込みの奇襲もしかし、成功と言えるのは初手が精々。二手目を阻むと同時に三手目の、我らの存在に気付き、おまけに潜伏場所まで見破るとは。実に恐れ入る。まあ、最後のそれは鎌を掛けられボロを出した頼もしい我らが大将のお陰でもあるのだが。

 ともあれ、これで奇襲はネタ切れ。期待していた最後の“もう一戦力”もどうやら当てが外れた様子。つまりここからは……

「さあ、出番だてめえら! 暴れてこい!!」

 そんな怒号に、続く鬨の声。城の至る所から姿を現す兵たち。ある者は飛び立ち、ある者は城の上から砲を構える。
 もう出し惜しみは無しだ。後は純粋な力比べ。つまりは、真っ向勝負の総力戦。“枯れた森”の兵団とその将・ダークドラモン、“紺碧の海”の兵団とその将・メタルシードラモン、そして“赤銅の谷”の兵団と、その将。陸海空に大別されるゼブルナイツの三軍団とそれを指揮する三将軍、その最後の一人たる紅蓮の機械竜“カオスドラモン”は、待ち侘びたとばかりに鋭い歯列を覗かせ砲口を空へと向ける。

「思い知れ神の家畜ども……ケダモノの生き様を教えてやるぜ!!」
 
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