□第二夜 白妙のファナティック
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2-1 日向の愁嘆(1/1)
来い。
そう言って差し出された手を、私はどうして取ってしまったのだろう。
ただそうしろと、理性でない部分が訴えたように。
果たしてそれは悪魔の誘いか、あるいは……。
答えの出せぬ問い。意味をなさぬ後悔。ただ現状を今の段階で、今の認識で言い表すならそう――
「悪夢だ……」
としか言えない。言いたくない。
確かなことは一つ。
私の平和な日常が、ことなかれ主義で平和主義な私の日常が、粉々に崩れ去ったということ。
嗚呼――さようならラブアンドピース。そしてこんにちはデッドオアアライブ。
嗚呼。
嗚呼。
ああああ〜……。
「悪夢……だ」
もう一度、私は大きな溜息とともに呟いた。
一体これからこの先この台詞を幾度、口にすることとなるのであろうか。
今の私には、想像もできなかった――。