□第一夜 黄昏のアンリアル
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1-1 日向の後悔(1/1)

 
 私には夢がある。

 大それた夢ではない。とてもとてもささやかな夢だ。

 人は私を謙虚と呼ぶだろうか。或いは無欲と、ともすれば夢がないとさえ言われてしまうのかもしれない。

 しかし私は声を大にして言いたい。否、むしろ力の限り叫びたい。いやもう叫ぶ。叫んでやる。叫ぶぞー!

「悪夢だっ!」

 そうだ悪夢だ。これは悪夢だ。ささやかな夢を、ささやかだと思っていた夢をぶち壊す、悪夢だ……。

 ただ平穏無事に、日々を過ごせればそれでいいなんて。
 それが謙虚で無欲で、当たり前に誰もが叶えられる夢だなんて。ささやかで小さな夢だなんて。なんて、なんておこがましい。

 私は猛省する。そして忠告しよう。平和な日常を生きる名も知らぬ人々へ。貴方の手にあるその幸せを、全力を以って護りなさいと。何があろうと手放してはいけないと。決して、その手を「ここ」へ伸ばしてはいけないと。

 さもなくば……。

 貴方の日常は奴らの手によって脆くも崩れさることとなろう。奴らの、そう「デジモン」たちの手によって。

 この、私のように……。
 
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