-花と緑の-

□最終話 『花とヌヌ』 その三 エピローグ
10ページ/20ページ

シーンU:別れの刻へ(6/10)

 あたしたちのために開かれた宴は、それはそれは豪勢なものだった。
 近隣の村々からもデジモンたちが集まり、夜を通して飲めや歌えやの大騒ぎ。「なんで人間が?」などと問い掛けてくる、まったく事情も知らずに騒ぎにきただけの奴も混じっていたが、細かいことはまあよしである。
 あたしはお皿を片手に村中を回り、ご馳走の数々をいただいていく。途中でヌヌから「それ取り皿じゃねえから」という謎の茶々が入ったが、構わずちょっとした盾みたいな取り皿にお料理を乗せていく。
 熟成極上肉のステーキ。ブラックデジマスのポワレ。黄金デジタケのポタージュ。挑戦ニンジンとサクラ鳥大根のサラダ。クサリカケメロンのまるごとシャーベット。どれもこれもが目新しくて美味しくて、あたしもついつい食べ過ぎてしまう。

「胃袋バーストモードかよ」
「あぅむ?」

 掛けられた声に振り返ればこれでもかと食べ物を詰め込んで肥大化したヌヌがいた。お前が言うなとツッコミ待ちだろうか。でも忙しいので肩だけすくめてお食事を再開する。

「はあ、元気でなによりだよ。それよりウィザーモンが呼んでたぜ。時間できたら来てくれってよ」
「あむ、ほむ、ごくん……ウィザーモンが?」
 
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ