□5周年リクエスト小説@
16ページ/21ページ

◆\(1/1)

 気が付けばマリーは、水の中にいた。
 我が身に何が起きたのかは不思議と冴えた頭が理解していた。海の中から伸びた触手に捕まり、引きずり込まれてしまったのだ。
 それが何というなら、イカだった。
 昨日の巨大クワガタ程もある巨大イカの足が、自分の身体に巻き付いていたのだ。海中の薄闇からは更に巨大なエビやらタコまで現れる。海鮮特盛りである。くう、とお腹が鳴る。

 マリーは冷静だった。このままでは食い殺されるか溺れ死ぬとも理解できていた。すぐに助けが来ないこともわかっていた。それでも、マリーに焦りはまるでなかった。
 なぜというなら、言葉にするのは難しい感覚だった。
 いいや。なぜというなら、あたしがいるからだ。

『ほら、いくよ』

 あたしの言葉にうんと頷く。
 そして青の少女は、目覚めの時を迎える。

 
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ