□5周年リクエスト小説@
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気が付けばマリーは、水の中にいた。
我が身に何が起きたのかは不思議と冴えた頭が理解していた。海の中から伸びた触手に捕まり、引きずり込まれてしまったのだ。
それが何というなら、イカだった。
昨日の巨大クワガタ程もある巨大イカの足が、自分の身体に巻き付いていたのだ。海中の薄闇からは更に巨大なエビやらタコまで現れる。海鮮特盛りである。くう、とお腹が鳴る。
マリーは冷静だった。このままでは食い殺されるか溺れ死ぬとも理解できていた。すぐに助けが来ないこともわかっていた。それでも、マリーに焦りはまるでなかった。
なぜというなら、言葉にするのは難しい感覚だった。
いいや。なぜというなら、あたしがいるからだ。
『ほら、いくよ』
あたしの言葉にうんと頷く。
そして青の少女は、目覚めの時を迎える。