短編(PART1)
□冷やし中華
1ページ/1ページ
「山形。昼、食べた?」
東京駅の上官室に帰ってきた早々、秋田に聞かれた山形。
「いや、まだだべ。」
首を左右に振りながら答えれば、
「ちょうどよかった。冷やし中華作ったんだけど、余ちゃって・・・悪いけど食べてくれる?」
手を合わせ、謝りながら言う秋田に無言で頷く。しばらくして、
「お待たせ。」
と、言いつつ、秋田が冷やし中華を持ってくる。そのとたん目を丸くする山形。
「なんだべ。この量?」
と、聞けば、
「これで、1人前だけど。」
と、返ってくる。それにしては、多すぎる。麺が全く見えないのだ。そもそも具の量が多い。
「なしてこんな事・・・」
山形が唖然としていると、
「長野に、野菜をいっぱい食べてもらおう。と思って作ってたら、いつの間にかこんなことになってたんだよね。」
ペロっと舌を出しつつ答える。
「初めて麺が見えない冷やし中華を見たべ。」
あきれつつ、その冷やし中華を食べ始めた山形だった。
END