短編(PART1)
□甘茶
1ページ/1ページ
今日は、春にしてはいつもより暑い日だった。
「お疲れ。咽乾いた。」
と、東京駅上官室に戻ってきた山陽新幹線が言えば、
「お疲れ。」
と、めずらしく東海道新幹線が飲み物を持ってくる。
「あれ?めずらしくねぇ?」
と、聞けば、
「今、誰もいない。」
と、言う。確かに、東の新幹線は誰もいなかった。そして、飲み物を山陽の前に置く。色から見て、どうやら、紅茶らしかった。
「サンキュー。」
と、言って持ってきた物を口に流し込む。その瞬間、甘い味がしたと思ったら、たちまち、苦いお茶の味。
「何?これ?」
目を、白黒させ、変なリアクションをとった山陽。そんな、山陽に東海道が笑って答える。
「甘茶だ。」
と。そして、
「化粧をした子供たちに貰った。どうやら、イベントらしくてな。東の奴らにも飲ませたが・・・やはり、お前が一番いいリアクションをしたな。」
と、満足げに言い放った東海道だった。
END
後日・・・
東の新幹線が集まっている所で、
「なあ、甘茶ってどう思うよ?」
と、山陽が聞けば、
「アレ・・・あまり美味しくないよね。」
と、上越。
「僕は、以外に美味しかったけど。」
と、秋田。山形は、
「なつかしい、味だべ。」
と、言い、長野は、
「始めての味でした。」
と、言う。そして、
「・・・」
無言の東北だった。